side:受
(あ、こんな時間か・・・)
ふと、目が覚めた。夜中の一時。
いつもの癖で横を見るも、恋人の姿はない。
(――あ、そっか。仕事、だっけ・・・・・)
いつもより温もりがないだなんて、きっと気のせいだと思いたい。
今日も、明日も恋人には会えないのだ。
気分が下がる前に寝ようと思うが、なかなか寝付けない。
仕方ない、と台所へ足を向ける。
冷蔵庫を開けようとして手が止まる。
(――――あ・・・)
冷蔵庫の扉に、メモが貼り付けてある。
そこに書かれている文字には見覚えがあった。
綺麗な字で、とても真似できない字だ。
『夜中にお菓子を食べると太るからね。あまり食べないように!
水は二段目に入ってます。
イイ子で待っててね❤』
自分宛のメモだと気付き、書かれた内容はいろんな意味で、恋人らしいものだった。
(イイ子で、って・・・・・・)
なんだそりゃ、って思う。
高校生にもなってイイ子もワルイ子もねぇーよ。
一人呟くも、ひとりきりの空間では何も返ってこない。
水を取りだして一口含む。思ったより喉が渇いていたことに納得する。
ひとりきりの空間が嫌で、部屋へ戻りベッドへ潜る。
涙が出そうになるのを我慢して目をぎゅっと閉じる。
(イイ子で待ってるから――・・・)